年末調整や確定申告で、障害者控除と特別障害者控除の2種類の控除を見かけると思います。
その二つの控除の違いについてまとめました。
税法上の障害者と特別障害者の定義
障害者
- 身体障害者手帳3級〜6級
- 精神障害者保健福祉手帳2級〜3級
- 療育手帳B,C
特別障害者
- 身体障害者手帳1級〜2級
- 精神障害者保健福祉手帳1級
- 療育手帳A
障害者控除と特別障害者控除の違い
納税者自身、もしくは配偶者や扶養親族が障害者の場合は障害者控除、特別障害者の場合は特別障害者控除が適用され、税制上の優遇措置を受けられます。
また、以下で整理したように特別児童扶養手当、障害児福祉手当、特別障害者手当などの所得制限の計算に利用される所得からも控除されます。
障害者控除
所得税の控除額:27万円
住民税の控除額:26万円
特別障害者控除
同居していない場合
所得税の控除額:40万円
住民税の控除額:30万円
同居している場合
所得税の控除額:75万円
住民税の控除額:53万円
減額される税金の例
上記の金額分の税金が減額されるわけではなく、所得が減額されます。
そのため、所得税に関してはその減額された所得に対する税金が年末調整または確定申告で還付されます。
住民税に関しては、翌年の住民税から減額された所得に対する税金となります。
たとえば年収500万円で所得税率10%と仮定した場合に減額される税金は以下となります。
なお、住民税の税率は一律10%となります。
障害者一人を扶養している場合
所得税の還付金額
所得税の控除額27万円 × 10% = 27,000円
住民税の減額
住民税の控除額26万円 × 10% = 26,000円
同居している特別障害者一人を扶養している場合
所得税の還付金額
所得税の控除額75万円 × 10% = 75,000円
住民税の減額
住民税の控除額53万円 × 10% = 53,000円
まとめ
所得税や住民税は、障害の程度によって障害者控除もしくは特別障害者控除の所得控除が適用されます。
住民税は一律10%となるため、減額される税金も一律となります。
所得税に関しては、累進課税となっており、年収が増えるに従って所得税率が増えていきます。
障害者控除以外も含めた所得控除全体の金額にもよりますが、たとえば年収800万円前後の場合、所得税率は20%になります。
その場合、同居している特別障害者を扶養していると、所得税の還付金額は以下の計算となります。
所得税の控除額75万円 × 20% = 150,000円
以下で整理したように、年収が800万円ほどになると残念ながら所得制限にひっかかり、年間約60万円の特別児童扶養手当が支給停止になりますが、障害者控除もしくは特別障害者控除で還付される金額は増えます。
年間60万円の支給停止に比べると微々たる金額ですが・・・
障害者の利用できるその他制度
障害者控除以外に、障害者の利用できるその他制度は以下も参考に。
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